第17回研究会「科学と社会の未来のこれまでとこれから」

4月17日(水)17:10〜18:55

第17回研究会「科学と社会の未来のこれまでとこれから」

講師 宮地尚子(一橋大学大学院社会学研究科教授)

 これまでの研究会において、これまでやってきたこと、こだわってきたこと、学んできたこと、これからしたいことを振り返り、受講生と一緒に今後の方向性を考えていきました。当日は、活発な議論が行われ、今後の企画についても興味深いアイデアがいろいろ出ました。

 本研究会は、一橋大学大学院社会学研究科のプロジェクト「先端課題研究21」として、学生も受講することができます。学生参加者のレポートより、こちらに参加記を掲載いたします。

参加記はこちら

 昨年度、対⾯で参加する機会を逃してしまった私にとっては、先端課題研究の受講⽣との顔合わせは初めてとなった。各回の講師の⽅々がさまざまな分野でご活躍されているように、受講⽣も問題関⼼や研究対象が実に多様であった。そうしたメンバーで⾏うディスカッションはいつも刺激を受け、⾃分がいかに他分野に無知であるかを思い出させる⼀⽅で、全く違う研究を⾏なっていても何か共通点を⾒出せるというのも⼼地よさを感じる。各々が⾃⾝の研究や関⼼ごとを科学と結びつけて議論していると、どうしてもネガティヴな事象に対する解決策を⾒出したくなりがちであることに気がついた。⾏き過ぎた科学技術を抑制するには、医療のマイナス⾯、AI の危険性などである。しかし宮地先⽣のコメントで⽬が覚めた。
 「それはそれでとても⼤事なんだけど」と強調された上で、それだとありきたりでつまらないし、⼈⽂社会科学が後始末をさせられているようで、、、というのはまさにその通りであった。昨年度受けた講義はどの会も科学技術の危険性や負の側⾯を念頭に起きつつも、どこか希望を持て、ワクワクするような話が⾮常に多かったと思う。楽しいはずの学問が苦しくなる、⾃らの専⾨に閉じこもってしまうというお話もあっ
たが、この先端課題研究は研究を志すものが陥りがちな凝り固まった思考を解きほぐしてくれる⼿助けのようなものとして捉えることができるかもしれない。それはまさに昨年度のドミニク・チェンさんの講義であったような、研究者チームが全く予想できなかった遊び⽅を⽣み出す⾚ん坊を⾒るかのようでもあるかもしれない。
 最後に個⼈的な関⼼ごとを中途半端であることは承知しつつも記したい。私は先⽉1週間ほどパソコンやスマホの画⾯を⾒ることができないほど⽬を疲れさせてしまった。眼精疲労は知っていたが、VDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)症候群なるものもあると初めて知った。そして⾃⾝の症状や解決策を調べるのもパソコンやスマホが必要であることに気がつき、恐ろしくなった。本来レジュメや⽂献は印刷したもの、紙の媒体を好むのだが、印刷代をケチってしまったツケが回ってきたのだろうか。デジタル化の海に飲み込まれそうなアナログ派にとって希望の光となるような科学技術があれば何か学びたいところである。

社会学研究科  博士後期課程  苧野亮介